NPO法人とバーチャルオフィスの相性|設立の流れ・税金・注意点を解説

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こんな疑問に答えます
  • 社会起業家が、NPO法人を設立するメリットとデメリットを知りたい
  • NPO法人の設立の流れと、かかる期間・費用を知りたい
  • NPO法人の事務所に、バーチャルオフィスを使えるのか知りたい

社会問題の解決を目的に事業を始める社会起業家にとって、法人の形の選択肢の1つがNPO法人です。利益を追うより、活動を続けることが大切なため、事務所にかける費用を抑えたい方も多いでしょう。

この記事では、NPO法人の基本、メリットとデメリット、設立の流れ、税金と社会保険、そしてバーチャルオフィスを事務所に使うときの注意点を、内閣府などの公的情報をもとにまとめました。

この記事の結論

NPO法人は、収益を構成員に分配せず、公益の活動に使う法人です。設立には、社員10人以上と所轄庁の認証が必要で、株式会社より時間がかかります。

  • メリットは、設立登記の登録免許税が非課税、税制上の優遇、寄付や助成金を受けやすい点です
  • 認証は、縦覧(2週間)のあと、2か月以内に決定されます。登記は認証の通知から2週間以内です
  • バーチャルオフィスは、主たる事務所として使うなら、書類の備え置きや活動の実態の点で、事前確認が必要です
目次
  1. NPO法人とは
  2. NPO法人のメリット4つ
  3. NPO法人のデメリット3つ
  4. 設立の流れと期間
  5. 税金と社会保険
  6. バーチャルオフィスとNPO法人の相性
  7. よくある質問
  8. まとめ

NPO法人とは

NPO法人は、正式には特定非営利活動法人といい、特定非営利活動促進法にもとづいて設立される法人です。福祉、教育、まちづくり、環境、国際協力など、不特定かつ多数の人の利益に役立つ活動を行います。

NPO法人と株式会社の違い。目的(公益か営利か)、設立の人数(社員10人以上・理事3人・監事1人か、1人からか)、収益の分配(できないか、できるか)、設立登記の登録免許税(非課税か、15万円から)、設立までの期間、法人税(収益事業のみか、全所得か)
NPO法人と株式会社では、目的も設立の条件も違います

「非営利」は、分配しないという意味

「非営利」とは、利益を上げてはいけないという意味ではありません。団体の構成員に、収益を分配したり財産を還元したりしないという意味です(内閣府)。事業で得た収益は、活動のために使います。役員や職員に給与を払うことは、できます。

活動は、法律で決められた20分野

NPO法人が行う特定非営利活動は、法律で決められた20分野に限られます。複数の分野を選ぶことは、できます。

  • 保健・医療・福祉の増進、社会教育、まちづくり
  • 環境の保全、災害救援、地域安全、国際協力
  • 子どもの健全育成、人権の擁護、男女共同参画
  • 学術・文化・芸術・スポーツの振興、観光の振興
  • 情報化社会・科学技術の発展、経済活動の活性化、職業能力の開発・雇用機会の拡充、消費者の保護 など

活動の目的に合う分野を、定款に定めます。そのほかの事業は、「その他の事業」として、活動の支障にならない範囲で行い、会計を区分します。

出典 内閣府|NPOホームページ 認証制度について 設立の手続き、認証の基準、法人格取得後の義務が説明されています。

NPO法人の4つのメリット

設立登記の登録免許税が非課税

NPO法人の設立登記には、登録免許税がかかりません。株式会社の設立には、登録免許税15万円、定款認証3万〜5万円、謄本代などがかかり、20万円前後が目安です(資本金や手続きの方法で変わります)。設立時の費用負担を、活動に回せます。

法人税は、収益事業のみが課税対象

NPO法人の法人税は、法人税法で定める収益事業から生じた所得にだけ課税されます。収益事業を行わなければ、法人税はかかりません。詳しくは、後の「税金と社会保険」で説明します。

社会的な信頼を得やすい

法人格を持つと、団体として、契約や訴訟などの手続きを行えます。設立の認証を受け、事業報告書などを公開するため、任意のボランティア団体より、活動の透明性と信頼性が高まります。

寄付や助成金を受けやすい

NPO法人は、寄付や助成金を受け取れます。助成金の中には、法人格を持つ団体を対象にするものもあり、活動資金を調達しやすくなります。志を同じくする人が集まりやすい点も、強みです。

NPO法人の3つのデメリット

設立に時間がかかる

株式会社は、書類を用意して定款の認証を受け、登記すれば、1〜2週間ほどで設立できます。NPO法人は、設立総会などの準備に加え、所轄庁の認証が必要です。縦覧と審査の期間もあるため、数か月単位の時間を見込みます。

社員10人以上と、役員が必要

株式会社は、1人でも設立できます。NPO法人は、社員10人以上が必要です。また、理事3人以上と監事1人以上を置きます。社員は、従業員ではなく、会の趣旨に賛同する会員のことです。役員・監事は、社員を兼ねられます。

認証の基準として、役員のうち報酬を受ける人は、役員総数の3分の1以下とされています。

収益を分配できない

営利法人は、利益を役員報酬や配当として、株主や役員に還元できます。NPO法人は、収益を構成員に分配できず、全額を活動に使う必要があります。

設立の流れと期間

NPO法人は、所轄庁への申請と「認証」を受けたあと、登記をして、法人として成立します。

NPO法人の設立の流れ。発起人会・設立総会、所轄庁へ認証を申請、縦覧2週間、認証(縦覧後2か月以内)、設立登記(認証の通知から2週間以内)、所轄庁へ届出
認証を受けてから登記して、法人として成立します
  1. 発起人会・設立総会:設立の趣旨、役員、会費、活動内容などを決め、設立趣旨書、定款、事業計画書、活動予算書にまとめる。設立総会で意思決定し、議事録に残す
  2. 認証の申請:定款、役員名簿、役員の就任承諾書と誓約書、社員10人以上の名簿、設立趣旨書、議事録、事業計画書、活動予算書などを添えて、所轄庁に申請する
  3. 縦覧(2週間):申請書類の一部が、受理した日から2週間、公衆の縦覧に供される
  4. 認証・不認証の決定:縦覧期間の経過後、2か月以内に決定され、書面で通知される(条例で、これより短い期間が定められている場合もある)
  5. 設立登記:認証の通知から2週間以内に、主たる事務所の所在地で登記する。6か月を経過しても登記しないと、認証を取り消されることがある
  6. 所轄庁へ届出:登記後、遅滞なく、登記事項証明書と財産目録を添えて届け出る
書類に不備があると、認証が遅れます

申請書類に不備があると、審査が遅れたり、認証されなかったりします。認証申請の補正は、条例で定める軽微なものに限られ、縦覧の開始から1週間を過ぎると、認められません。提出前に、所轄庁の窓口で確認しましょう。

出典 内閣府|NPO法Q&A 設立の認証・手続き等

税金と社会保険

収益事業を行うと、法人税がかかる

NPO法人は、法人税法上の34業種の収益事業(物品販売業、不動産貸付業、製造業、出版業、飲食店業、人材派遣業など)を、継続して、事業場を設けて行う場合に、その所得に法人税が課税されます。

収益事業から生じた所得には、中小法人と同様の税率(年800万円以下の部分が15%、超える部分が23.2%)が適用されます(国税庁)。一定の要件を満たす福祉的な事業などは、収益事業から除かれる場合があります。判断に迷うときは、税務署や税理士に確認してください。

法人住民税(均等割)は、自治体で異なる

法人住民税の均等割は、営利法人では、赤字でも課税されます。NPO法人は、多くの自治体で、免除や減免の制度があります。たとえば東京都は、収益事業を行わないNPO法人に対し、申請により、法人都民税の均等割を免除しています。条件や手続きは、自治体ごとに違うため、事務所の所在地の窓口で確認してください。

出典 東京都主税局|NPO法人の法人都民税(均等割)の免除

消費税と社会保険

消費税は、他の法人と同様に、課税される場合があります。従業員を雇うときは、社会保険(健康保険・厚生年金)や労働保険(労災・雇用保険)への加入が、営利法人と同じように必要です。

バーチャルオフィスとNPO法人の相性

NPO法人は、活動の多くを、外出先や自宅、オンラインで行うことも多く、広い事務所が要らない場合もあります。そのため、費用を抑えるために、バーチャルオフィスを検討する方もいます。

ただし、NPO法人は、主たる事務所の所在地で、登記や所轄庁の決定、書類の管理が行われます。バーチャルオフィスを事務所にするなら、次の点を確認しましょう。

NPO法人がバーチャルオフィスを主たる事務所にするときの注意点(登記と所轄庁が決まる主たる事務所、事業報告書などの備え置きと閲覧、活動の実態の説明、銀行や助成金での説明)。認証の申請前に所轄庁へ確認
認証の申請前に、所轄庁へ確認しましょう

主たる事務所で、登記と所轄庁が決まる

設立登記は、主たる事務所の所在地で行います。所轄庁は、事務所が1つの政令指定都市の区域内だけにあれば、その市の長、それ以外は、主たる事務所がある都道府県の知事です。帳簿書類も、主たる事務所に保存します。

書類の備え置きと閲覧ができるか

NPO法人は、事業報告書や計算書類、役員名簿などを、すべての事務所に備え置き、社員や利害関係人に閲覧させる必要があります。バーチャルオフィスは、スペースを借りないため、実際に書類を置き、閲覧に応じる場所を、どう用意するかが課題になります。

活動の実態を説明できるか

所轄庁が、事務所の実体や使用の権利を確認するかどうかは、自治体によって運用が異なります。また、銀行での口座開設や、助成金の申請では、活動の実態や事務所の説明を求められることがあります。

先に、所轄庁に確認しましょう

バーチャルオフィスを主たる事務所にできるかは、所轄庁の運用や、書類の備え置きの方法によって変わります。認証の申請の前に、所轄庁の窓口へ、事務所の要件を確認することをおすすめします。あとから登記の住所を変えると、定款の変更と認証が必要になります。

合わせて読みたい 協会・一般社団法人の設立とバーチャルオフィス|費用・手順・登記先の選び方 一般社団法人との違いも、あわせて確認できます。 登記について バーチャルオフィスで法人登記

よくある質問

NPO法人の「社員10人以上」は、従業員を10人雇うことですか?

いいえ。ここでいう社員は、従業員ではなく、会の趣旨に賛同して参加する会員のことです。役員・監事は、社員を兼ねることができます。

NPO法人は、収益を上げる事業をしてはいけませんか?

収益を上げても構いません。禁止されているのは、収益を構成員に分配することです。得た収益は、活動に使います。職員に給与を払うことも、できます。

NPO法人の設立には、どのくらい時間がかかりますか?

申請書の受理後、縦覧が2週間、その後2か月以内に認証・不認証が決まります(条例で短い場合もあります)。設立総会などの準備期間と、認証後の登記もあるため、全体で数か月を見込みます。

NPO法人の設立に、費用はかかりますか?

設立登記の登録免許税は非課税です。ただし、書類の作成や、登記の専門家に依頼する費用など、別の費用がかかる場合があります。

バーチャルオフィスを、NPO法人の主たる事務所にできますか?

所轄庁の運用や、書類の備え置きの方法によって変わるため、一概には言えません。事業報告書などをすべての事務所に備え置く義務があるため、認証の申請前に、所轄庁へ確認してください。

まとめ:NPO法人の設立条件を確認し、事務所は所轄庁に確認してから決める

NPO法人は、社会問題の解決に取り組む方にとって、有力な選択肢です。設立には社員10人以上と所轄庁の認証が必要で、時間がかかります。事務所の費用を抑えたい場合は、バーチャルオフィスも選択肢になりますが、認証の申請前に、所轄庁へ事務所の要件を確認しましょう。

この記事のポイント
  1. NPO法人は、収益を分配せず、活動に使う法人。設立には、社員10人以上・理事3人以上・監事1人以上と、所轄庁の認証が必要
  2. 縦覧2週間、決定は縦覧後2か月以内、登記は認証の通知から2週間以内。登録免許税は非課税
  3. バーチャルオフィスを主たる事務所にするなら、書類の備え置きと活動の実態を含めて、認証の申請前に所轄庁へ確認する
次に読む バーチャルオフィスの選び方|契約前に確認したい11のチェックリスト 法人登記に使えるかなど、契約前の確認ポイントを解説しています。
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起業オフィスナビゲーション編集部 ~革新のオフィス秘話~

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