個人事業主におすすめのバーチャルオフィス|メリット・費用・納税地とよくある質問

- 自宅の住所を、名刺やホームページに出したくない
- 個人事業主がバーチャルオフィスを使う費用や、メリットを知りたい
- 納税地やインボイス、許認可のことで、不安がある
会社員をやめて個人事業主になると、働く場所を自分で決める必要があります。「自宅を仕事場にするか」「オフィスを借りるか」で迷う方も多いでしょう。
そこで選択肢になるのが、住所を借りるバーチャルオフィスです。この記事では、個人事業主にバーチャルオフィスをおすすめする理由、費用の目安、納税地やインボイスの考え方、よくある質問、利用者のインタビューをまとめました。
この記事の結論
自宅で開業する個人事業主は、名刺やホームページ、ネットショップの表記で、自宅の住所が知られることがあります。バーチャルオフィスなら、月数千円ほどで、自宅とは別の住所を用意できます。
- 費用の目安(東京)は、バーチャルオフィスが月数百円〜5,000円前後。レンタルオフィスの個室は月7万〜12万円前後です
- メリットは、プライバシー・低コスト・信頼感・電話や会議室の4つです
- 士業・古物商・探偵業など、許認可が必要な事業では、バーチャルオフィスの住所は使えません
目次
個人事業主にバーチャルオフィスをおすすめする理由
自宅で開業する個人事業主(フリーランス)は、多くの場合、自宅を仕事場にします。すると、仕事用の住所と電話番号が、自宅と同じになります。
自宅の住所が知られるリスク
一人暮らしならまだしも、家族と暮らしている場合は、個人情報の面で望ましくありません。仕事をしていれば、トラブルは付きものです。取引先が、いつも良心的とは限りません。
- ネットでの拡散:取引先とのトラブルで、自宅の住所や電話番号がネット上にさらされるおそれがある
- 名刺情報の悪用:名刺などの個人情報が、営業のDMや勧誘電話に使われるおそれがある
- ネットショップ:販売事業者としての住所の表記が求められる場合がある
編集部リスクを考えると、自宅と仕事場の住所は分けたほうが安心です。
仕事場の費用を比べる
住所を分けるために、オフィスを借りると、固定費がかかります。東京の目安を比べてみましょう(2026年9月時点の情報サイトなどの目安です。サービスやエリアで大きく変わります)。
レンタルオフィスの個室は、専有スペースがある分、月7万〜12万円前後かかります。収入が安定しない開業初期には、大きな負担です。
バーチャルオフィスは、スペースを借りず、住所だけを借りるサービスです。会社専用の私書箱のようなものと考えるとわかりやすいでしょう。名刺やホームページに、その住所を載せられ、届いた郵便物は自宅などに転送してもらえます。
合わせて読みたい バーチャルオフィスとレンタルオフィスの違い|費用・許認可・口座開設など17項目で比較 費用や設備、許認可の違いを、17項目で比べています。個人事業主がバーチャルオフィスを借りる4つのメリット
プライバシーを守る
名刺、ホームページ、申込書などの住所に、バーチャルオフィスの住所を使えます。自宅の住所を明かさずに、仕事ができます。
低コストで始められる
バーチャルオフィスは、月数百円〜5,000円前後が目安です。格安のサービスなら、月2,000円前後(年契約の場合など)から借りられることもあります。収入が安定しない時期でも、無理のない固定費で始められます。
信頼感と、ほかの個人事業主との差別化
初対面で名刺を交換するとき、住所や電話番号は自然と目に入ります。自宅の住所より、都心の住所が載っているほうが、信頼されやすい場合があります。
個人事業主は、自宅開業の人がほとんどです。自宅とは別に拠点があることで、ほかの人と差別化でき、営業の面でも効果が期待できます。
電話番号・会議室なども使える
バーチャルオフィスには、電話転送、電話代行、貸し会議室、記帳代行などのサービスがあるところもあります。03などの電話番号を、名刺に載せることもできます。
メリットとデメリット バーチャルオフィスのデメリット10個とメリット8個納税地とインボイスの考え方
個人事業主が気になるのが、納税地とインボイスの公表です。次の点を押さえておきましょう。
納税地は、原則として住所地
所得税の納税地は、原則として、住民票のある住所地です(国税庁)。次のようなときは、届出により変えられます。
- 居所地:住所のほかに居所がある場合、居所地を納税地にできる
- 事業所等:住所や居所のほかに事業所等がある場合、その所在地を納税地にできる
バーチャルオフィスの住所が、「事業所等」として認められるかは、税務署の判断によります。納税地を変えたい場合は、事前に、管轄の税務署へ確認してください。
出典 国税庁|No.2091 個人事業者の納税地等に異動があった場合の届出関係インボイスの公表事項
インボイス制度に登録すると、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」に、登録情報が公表されます。個人事業者の場合、公表されるのは氏名や登録番号などです。
屋号や、主たる事務所の所在地は、本人が申出をしたときだけ、追加で公表されます。つまり、何もしなければ、自宅の住所が自動的に公表されることはありません。
信頼感を高めるために、事務所の所在地を公表する方法もありますが、公表できる住所の条件は、申出の前に、税務署や国税庁の案内で確認してください。納税地をどこに設定しても、税金の計算方法は変わりません。
個人事業主のよくある質問
バーチャルオフィスの利用料は、経費にできますか?
事業のための支出なので、経費にできます。月額・年額の利用料や、郵便転送・電話転送などのオプション料金は、「支払手数料」などの科目で処理するのが一般的です。勘定科目の詳しい扱いは、税理士や税務署に確認してください。
社員を何人か雇っている場合、社員の人数分の料金がかかりますか?
サービスによって違いますが、多くの事業者は、1契約につき、1名義(屋号または法人)としています。郵便物が社員宛てに届いても、屋号が同じなら、1契約の料金で足りるのが一般的です。契約前に、名義の扱いを確認してください。
通販の商品の受け取りにも、使えますか?
事業者の規約によって違います。同一名義であれば、生ものや、大きくて受け取りが難しいもの、法令に反するもの以外は、受け取れるところが多いです。仕入れ品などを受け取りたい場合は、規約を確認しましょう。
芸能活動などで、ペンネームや芸名で利用できますか?
芸能活動や作家の方も、バーチャルオフィスを利用しています。事業者によっては、ペンネームや芸名宛ての郵便物も受け取れます。ただし、契約時の本人確認は必要で、対応は事業者ごとに違います。
行政書士や税理士などの士業でも、使えますか?
士業の事務所には、実体のあるオフィスが必要で、バーチャルオフィスの住所は使えません。申請や届出が必要な事業では、実体のある事務所が求められます。
古物商や探偵業を、個人で開業できますか?
どちらも、バーチャルオフィスの住所は使えません。古物商の営業所には、独立した実際のスペースや、台帳の保管、管理者の常駐などが求められます。探偵業は届出制で、公安委員会から届出証明書が交付され、営業所への掲示が必要です。営業所の実体のある事務所が必要です。
個人事業主の利用者インタビュー
実際にバーチャルオフィスを使っている、個人事業主の方の声を紹介します(個人が特定されないよう、一部を変更しています)。
フリーランスのWebデザイナーRさんの場合
編集部なぜ、バーチャルオフィスを利用しようと思ったのですか?
Rさん以前はWeb制作会社で社員として働き、後に業務委託になって、自宅で仕事をしていました。しかし、2020年頃、コロナの影響で仕事が全くない時期があり、受注元でも社員が増えて、私に回る下請けの仕事が減りました。新規の取引先を開拓する必要を感じ、集客用のサイトを作り、交流会などで顧客を探すことにしました。そのため名刺が必要になったのですが、自宅の住所を名刺やホームページに載せるのに、抵抗があったのです。そんなとき知ったのが、バーチャルオフィスでした。月2,000円程度で名刺とホームページ用の住所を借りられるなら、安いと思いました。
編集部現在は、どうですか?
Rさん最近は、積極的に交流会に出て、名刺交換をしています。「個人事業主なのに、都内に事務所があるのですか?すごいですね」と言われることもあります。すぐに仕事になるわけではありませんが、名刺交換がきっかけで、お客さんを紹介されたり、見積の依頼を受けたりして、何件か仕事につながりました。フリーランスこそ、積極的に外に出て、自分をアピールすることが大切だと思います。
副業でネットショップを開業したHさんの場合
編集部どんな事業を、個人事業主として行っていますか?
Hさん会社員として働きながら、Amazonで、キャンプ用品を販売しています。英語ができるので、海外のメーカーから直接仕入れた、焚火用のアルコールランプなどを売っています。アウトドアが好きなのが、始めた一番の理由です。
編集部アイデアがあっても、踏み出せなかった理由は?
Hさん仕入れ費用の問題と、自宅の住所をネット上に公開しなければならないことです。でも、会社のボーナスが前年より下がったのを見て、失敗してもいいから行動しようと思いました。そのとき、バーチャルオフィスを知り、自宅の住所を公開しなくてよくなると思いました。月2,000円程度なら、Amazonの利用料金と合わせても月1万円いかないので、失敗しても大きな損はしないと判断しました。
編集部始めてから、現在までの経過を教えてください。
Hさん最初の1〜2か月はあまり売れませんでしたが、レビューがつくようになり、徐々に売上が伸びました。キャンプ用品は季節の波があり、収益は安定していません。それでも、いい月は会社の給与を超えています。出荷や問い合わせは、会社から帰ってからと土日にしていて大変ですが、好きでやっているので苦になりません。在庫が置ききれなくなったので、AmazonのFBA(倉庫のアウトソーシング)も検討しています。挑戦してよかったです。
まとめ:自宅と仕事の住所を分けて、少ない費用で信頼を得る
個人事業主は、自宅を仕事場にすることが多く、住所や電話番号が知られやすい立場です。バーチャルオフィスなら、月数千円ほどで住所を分けられ、プライバシーを守りながら、名刺やホームページで信頼感も伝えられます。許認可が必要な事業だけは、使えないことがあるため、先に確認しましょう。
- 自分の事業が、許認可の必要な業種でないか(士業・古物商・探偵業などは、使えない)
- 料金に含まれるサービス(郵便転送・電話転送・名義の扱い・通販の受け取り)
- 納税地やインボイスの住所の扱いは、税務署や国税庁の案内で確認する
