個人事業主の開業でやること・準備リスト|手続き・費用の目安を一覧で

- 個人事業主・フリーランスとして開業するのに、何をやればいいか全体像を知りたい
- 開業前に決めること・出す届出・そろえる道具を、順番にチェックしたい
- 開業にいくらかかるのか、費用の目安をまとめて把握したい
個人事業主として独立するには、事業内容によって必要な準備が変わりますが、多くの人に共通する「やること」があります。法人設立のような登記や定款は不要なので、株式会社の設立より時間も費用もかかりません。この記事では、開業でやること・準備するものを、チェックリスト形式でまとめました。
本文は、各社公式サイト・公的機関(国税庁など)の公表情報にもとづいています。料金や制度は掲載時点のもののため、申し込みの前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。
この記事の結論
個人事業主の開業でやることは、大きく3ステップです。①開業前に決める(屋号・申告方法・家族の雇用)→②届出を出す(税務署・都道府県税事務所)→③道具と信用ツールをそろえる。手続きの費用は0円、道具をそろえても数万円〜から始められます。
- 届出は無料:開業届は事業開始から1か月以内、青色申告承認申請書は開業から2か月以内が期限
- 青色申告がおすすめ:最大65万円の特別控除(e-Taxでの電子申告などが要件。掲載時点)
- 道具:パソコン・ネット回線・印鑑・名刺・銀行口座などを、必要なものから用意する
料金・制度は掲載時点の情報です
本記事の費用の目安や税制・手続きは、掲載時点の情報です。制度改正や事業者の料金改定で変わる場合があるため、最新の情報は必ず公式サイト・国税庁・お住まいの自治体でご確認ください。
目次
開業前に決めておく3つのこと
届出や道具の準備を始める前に、決めておきたいことが3つあります。あとで変更すると手続きをやり直す場合があるため、開業届を出す前に方針を固めておきましょう。
屋号(ビジネス名)を決める
最初の一歩は、屋号(ビジネス名)を決めるかどうかです。個人名のまま事業を行うこともできますが、将来的に法人化を考えているなら、専用の屋号を設定しておくと、名刺やホームページで組織としての信頼感を出しやすくなります。
屋号は開業届にも記入できます(空欄でも問題ありません)。候補をいくつか挙げてから、覚えやすく、事業内容が伝わるものを選びましょう。屋号を決めたら、同じ名前を使う他社がないか、インターネットでも検索して確認しておくと安心です。
参考 名前で迷ったときの「社名占い」(外部サイト)青色申告か白色申告かを決める
開業すると、利益に応じて所得税を納めます。確定申告の方法には、税制上の優遇が大きい青色申告と、白色申告の2つがあります。特別な理由がなければ、節税メリットの大きい青色申告がおすすめです。
青色申告には、次のような特別控除があります(国税庁「No.2072 青色申告特別控除」・掲載時点)。
- 最大65万円控除:複式簿記で記帳し、期限内に申告。さらにe-Taxでの電子申告または優良な電子帳簿の保存を行う場合
- 55万円控除:複式簿記で記帳するが、電子申告・電子帳簿の要件を満たさない場合
- 10万円控除:簡易な簿記で記帳する場合
青色申告は損失を3年間繰り越せるなど、赤字が出やすい創業初期にも有利です。なお、白色申告は複式簿記が不要(単式簿記でよい)ですが、2014年以降はすべての白色申告者に記帳・帳簿保存が義務づけられています(国税庁「No.2080」)。「白色なら帳簿づけが不要」ではない点に注意しましょう。
詳しく読む 個人事業主の確定申告は節税できる青色申告を選びましょう家族を従業員にするかを決める
配偶者や親族を従業員として雇うなら、青色事業専従者の届出を検討します。青色申告でこの届出をしておくと、届出書に記載した範囲内で、実際に支払った給与を必要経費にできます(労務の対価として相当な金額であることが条件)。
この選択は開業届の提出後でもできますが、あとから変えると税務署への手続きが増えるため、開業前に方針を決めておくとスムーズです。
これから開業する人まずは屋号・申告方法・家族の雇用の3つを決めればいいんですね。
編集部そのとおりです。この3つが決まれば、次は届出です。どれも無料で提出できますよ。
開業の届出は税務署と都道府県税事務所へ
方針が決まったら、届出を出します。開業の届出は国税(税務署)と地方税(都道府県税事務所)の2か所に分かれます。どちらも費用はかかりません。
税務署に「開業届」と「青色申告承認申請書」を出す
個人事業主・フリーランスとして開業するには、管轄の税務署に個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)を提出します。提出期限は事業開始から1か月以内です。青色申告を選ぶなら、所得税の青色申告承認申請書も一緒に出します(提出期限は開業から2か月以内)。
用紙は税務署の窓口のほか、国税庁のホームページからもダウンロードできます。書き方に迷ったら、税務署の窓口で相談しながら記入することもできます。
都道府県税事務所に「事業開始等申告書」を出す
所得税は国税のため税務署が窓口ですが、個人事業税は地方税のため、別途都道府県税事務所に「事業開始等申告書」を提出します(東京都の場合は都税事務所)。書式や提出期限は自治体で異なるため、お住まいの自治体の案内を確認してください。
パソコン・ネット・周辺機器をそろえる
ここからは、仕事に使う道具の準備です。すでに持っているものも多いはずなので、足りないものから用意すれば問題ありません。費用の目安は掲載時点のものです。
パソコンとインターネット回線
多くの業種でパソコンは必須です。外出先でも請求書作成やメール対応をするなら、ノートパソコンが便利です。インターネット回線は、作業量が少なければスマホのテザリングやWi-Fiでも足りますが、PC作業が多いなら固定回線を引いたほうが効率的です。
プリンター・スキャナー
ペーパーレス化が進んでいますが、契約書や請求書の印刷で、プリンターがあると便利な場面は多くあります。安さだけで選ぶとインク代がかさむことがあるため、1枚あたりのコストや、黒インクだけで使えるかも確認しましょう。印刷が多いならレーザープリンターが向いています。スキャナーは、書類をデータ化してメール送付でき、FAX代わりにも使えます。
経理ソフト
青色申告の65万円・55万円控除は複式簿記が必要です。簿記の知識がなくても記帳しやすいよう、会計ソフトの利用がおすすめです。弥生会計・マネーフォワード・freeeなどが代表的で、不明点を問い合わせられるサポート付きのプランもあります。10万円控除だけを狙うなら、表計算ソフトでの記帳でも対応できます。
| ノートパソコン | 4万円〜 |
|---|---|
| インターネット回線(光+プロバイダ) | マンション 月3,400円〜/戸建て 月5,500円〜 |
| プリンター・スキャナー | 2万円〜 |
| 会計ソフト | 導入 1万円〜/年間サポート 3万円〜 |
電話・FAX・メールを用意する
連絡手段も、開業前に整えておきたい準備です。電話・FAX・メールは、コストと使い方に合わせて選びましょう。
電話(固定電話・050のIP電話)
固定電話番号があると、信頼度が上がります。NTTの固定電話(03などの市外局番)を新規に引く場合、施設設置負担金が約39,600円(税込・掲載時点)かかります。負担金のかからない「加入電話・ライトプラン」もあり、その場合は月額に一定額が上乗せされます。
コストを抑えるなら、スマホのアプリでも使える050のIP電話が手軽です。格安SIMのイオンモバイルは、050のかけ放題オプションを用意しています(料金は掲載時点。最新は公式で確認)。
サービスを見る 050のIP電話が使える|イオンモバイルFAX(FAX機・インターネットFAX)
FAXの利用は減っていますが、業種によってはまだ使われます。FAX機は場所を取るため、パソコンで送受信できるインターネットFAXが省スペースで便利です。あまり使わないなら、無理に用意する必要はありません。
独自ドメインのメールアドレス
無料のフリーメールでもやり取りはできますが、取引先への信頼性を考えると、独自ドメインのメールアドレスがあると差別化になります。ドメインとサーバーの維持費は、合わせて月数百円程度から始められます。屋号やホームページと同じドメインにそろえると統一感が出ます。
| NTT固定電話 | 施設設置負担金 約39,600円(税込)+月額 1,700〜1,800円程度 |
|---|---|
| 050のIP電話 | 月1,000円台〜(かけ放題オプションあり) |
| FAX機/インターネットFAX | FAX機 2万円〜/インターネットFAX 月1,000〜2,000円 |
| 独自ドメイン+サーバー | ドメイン 年1,700円程度/サーバー 年6,000円程度 |
信用と集客を高めるツール(印鑑・名刺・HP・口座)
最後は、取引先からの信用や集客につながるツールです。事業の内容に合わせて、必要なものを用意しましょう。
印鑑
個人事業主は登記が不要なため、法人のような実印は必須ではありません。ただし、申込書や契約書に押印する機会は多いため、屋号を設定したなら、屋号の入った角印を一つ用意しておくと便利です。費用は3,000〜10,000円程度が目安です。
名刺
名刺は、格安のネット印刷なら100枚1,000円程度から作れます。営業に力を入れるなら、ロゴやキャッチコピーを入れるなど、プロのデザインを依頼するのも効果的です。自宅住所を名刺に載せたくない場合は、バーチャルオフィスの住所を使う方法もあります。
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ホームページは必須ではありませんが、あると信用度が高まり、集客のきっかけにもなります。SEO対策をきちんと行えば、ホームページ自体が新規のお客様を見つけてくれることもあり、広告費に対する効果も期待できます。積極的に営業するなら、早めの用意がおすすめです。
事業用の銀行口座
事業用の銀行口座は必須ではありませんが、屋号で取引する方や青色申告をする方は、プライベートと分けた事業用口座があると、経理や帳簿の管理が楽になります。屋号付き口座を作る場合は、開業の届出を済ませてからになります。ネット銀行は手数料が安く、開業直後の個人事業主にも使いやすい選択肢です。
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開業届はいつまでに提出すればよいですか?
事業を開始してから1か月以内が提出期限です。青色申告を選ぶ場合の「所得税の青色申告承認申請書」は、開業から2か月以内が期限です。期限を過ぎても開業届は提出できますが、青色申告の届出は期限があるため、あわせて早めに提出しましょう。
青色申告と白色申告は、どちらを選べばよいですか?
節税メリットの大きい青色申告がおすすめです。複式簿記で記帳し、e-Taxで電子申告するなどの要件を満たすと、最大65万円の特別控除を受けられます(掲載時点)。白色申告は複式簿記が不要ですが、2014年以降はすべての白色申告者に記帳・帳簿保存が義務づけられているため、「白色なら帳簿が不要」ではない点に注意してください。
開業にはいくらかかりますか?
税務署・都道府県税事務所への届出は無料です。道具の費用は、すでに持っているものを除けば、パソコン4万円〜、印鑑3,000円〜、名刺1,000円〜など、必要なものだけそろえれば数万円程度から始められます(掲載時点の目安)。
開業前に払った準備費用は、経費にできますか?
開業前に事業のために支払った費用は「開業費」として計上できます。開業費は繰延資産にあたり、任意のタイミングで償却(必要経費に算入)できます。領収書やレシートは必ず保管しておきましょう。詳しくは税務署や税理士にご確認ください。
個人事業主でも、自宅住所を出さずに開業できますか?
できます。名刺やホームページに自宅住所を載せたくない場合は、バーチャルオフィスの住所を利用する方法があります。ただし、許認可が必要な一部の業種では住所として使えない場合があるため、事前に確認してください。
まとめ:3ステップで、開業の準備を進めよう
個人事業主の開業は、法人設立と比べて、時間も費用もかかりません。「①開業前に決める→②届出を出す→③道具と信用ツールをそろえる」の3ステップで、無理なく準備を進められます。掲載した費用や制度は掲載時点のものです。届出や税制は国税庁・自治体、料金は各公式サイトで最新情報を確認しましょう。
- 開業前に屋号・申告方法・家族の雇用を決める
- 届出は税務署(開業届)と都道府県税事務所(事業開始等申告書)へ。無料で提出できる
- 道具は必要なものから。数万円〜で始められる
